CASE STUDY 事例紹介

決算早期化の支援

業種 サービス業
上場市場 プライム
連結売上
規模
5000億円超

プロジェクトの背景

IFRS決算開示の早期化が長年の課題になっていました。決算の都度、多数の海外子会社からの決算データ収集とその内容確認に時間を要し、本社経理部門に負荷が集中することで「決算作業の長期化」「属人的な処理」「内部統制上のリスク」が問題となっていました。

課題

決算・開示業務において以下のような課題を抱えており、決算早期化の実現や内部統制上の安定性確保が難しい状況にありました。
・決算スケジュール・タスク管理が不徹底
・減損など重要な会計論点の検討が決算前に解決しておらず、決算期中に持ち越されている
・子会社で処理すべき決算修正仕訳を本社側で多数実行
・関係会社間取引の照合作業が非効率で、差異解消に時間を要する
・増減分析・異常値チェックが仕組み化されておらず、監査法人対応が後手に回る
・決算処理から承認までの流れが不明確で属人的

弊社のアプローチ

以下の観点から支援を実施しました。

  • 1. 現状分析と課題抽出

    ・本社連結プロセスを中心に現行の業務フローを可視化
    ・決算日程・修正仕訳・関係会社間取引などを定量的に分析
    ・個社と連結間の差異・重複業務・非効率部分を特定
    ・単体と連結それぞれの「あるべき姿」と現状のギャップを整理

  • 2. 改善施策の設計

    ・決算タスク表・日程管理の導入、ハードクローズの検討
    ・本社と子会社の役割分担を明確化
    ・関係会社間取引差異解消の仕組み整備
    ・修正仕訳を子会社に移管し、連結側負荷を軽減
    ・異常値チェック・増減分析を組み込んだ決算プロセス設計
    ・証憑管理の体制、内部統制など周辺領域も含めた改善策の提示

  • 3. 実行支援とロードマップ策定

    ・トライアル決算を通じて改善案を検証
    ・業務・組織・人材・システムの観点から改善施策を整理
    ・改善進捗を会社別・課題別にモニタリング
    ・将来2年間を見据えた段階的な改善ロードマップを提示し、継続的な改善サイクルを提案

成果

・決算スケジュールと担当タスクの明確化により、属人性を低減
・海外子会社のGAAP差異の整理により、連結修正件数を削減
・関係会社間取引差額の縮小に向けた仕組みづくり
・異常値検知・増減分析をプロセスに組み込み、監査対応を効率化
・決算処理から承認までの流れを標準化し、属人性を大幅に低減
・システム不備に起因する遅延やミスの発生を抑制

結果として、決算発表までのリードタイムを短縮しつつ、内部統制の有効性を高める経理体制の基盤を構築しました。