CASE STUDY 事例紹介

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海外子会社の粉飾決算と不正な資金支出

プロジェクトの背景

5年前に現地企業を買収。監査法人による決算レヴューの中で、現地子会社の経営者による粉飾決算(意図的な減損回避)の疑いが浮上しました。初期調査の結果、現地子会社の経営者の親族企業との不透明な取引も明らかになり、社内特別調査委員会が設置された。当社の公認会計士が委員会メンバーとして参加し、独立性を確保した形で調査が進められました。

業務内容

以下の業務を実施した。

  • 社内特別調査委員会のサポート

  • プロジェクト・マネジメント

  • 不正調査の実施

    日本からの出張対応、現地法律事務所や現地会計事務所との連携

  • 親会社の監査法人、現地子会社の監査法人への説明・交渉

    調査範囲、調査深度、過年度遡及修正の要否、タイムスケジュールなど

  • 不正調査報告書の作成

  • 過年度有価証券報告書の訂正(過年度遡及修正)の支援

  • 各種業務プロセスの見直し、内部統制整備

業務のポイント

海外の不正調査事案は国内事案に比べて難易度が飛躍的に高まります。その理由は、調査に関与する関係者の増加、法規制の違い、言語や遠隔地による制約など様々な障壁の存在です。プロジェクトマネジメントは忍耐と高い経験力が求められます。

  • 関係者の増加への対応
     海外案件では、現地法律事務所・現地会計事務所・現地デジタルフォレンジック会社・現地監査法人など、多数の関係者が関与します。弊社はそれぞれの役割を整理し、情報の重複や混乱を防ぎつつ、全体を統合管理するハブとして機能しました。
  • 現地法規制と日本基準への両にらみ
    会計基準・会社法・通報制度・データ保護法など、法制度の違いは調査の大きな障害となります。さらに、日本では想定されない現地当局への報告義務も課題でした。弊社は現地法律事務所と連携し、日本の金融商品取引法対応と現地当局対応を両立しながら合理的な調査範囲を設定しました。
  • 遠隔地・言語・治安リスクへの対処
     現地が遠隔地にあり、日本から多くの人材を派遣できない状況でした。さらに、資料が英語以外の言語で作成されていたため、日本人スタッフによる直接調査は困難を極めました。そこで現地専門家を積極的に起用し、必要な場合はリモート調査やセキュアなデータ共有を駆使して、プロジェクトを遂行しました。

成果とその後の改善

調査により、粉飾決算の手口と不正資金の流れを解明しました。過年度の有価証券報告書の訂正は回避できませんでしたが、期限内に無事提出することができました。

さらに、業務プロセスの見直しと内部統制の整備を通じて、海外子会社のガバナンスを大幅に強化。『海外子会社の不正リスク管理体制』を抜本的に見直す契機となりました。

また、今後の海外M&Aにおいては、買収交渉の段階からガバナンス体制の導入・運用について相手方に理解と協力を求めるプロセスを組み込むことになりました。