CASE STUDY 事例紹介

在庫操作による利益かさ上げ

プロジェクトの背景

決算期末に在庫残高が不自然に増加したことから、監査法人が疑義を抱きました。さらに内部通報も寄せられ、社内調査を経て特別調査委員会が設置され、当社の公認会計士が委員会メンバーとして参加しました。
調査の結果、原価マスタの改ざんによる在庫水増しに加え、仕入先を巻き込んだ不適切なリベート取引や在庫の横流しなど、複数の不正行為が行われていたことが判明しました。

業務内容

以下の業務を実施した。

  • 特別調査委員会のサポート

  • プロジェクト・マネジメント

  • 不正調査の実施/支援

    商流・取引先調査、在庫データの分析と改ざんの追跡、リベートの実態調査、関係者ヒアリング(管理職・現場担当者)、役職者に対するアンケートの実施など

  • デジタルフォレンジックによる不正関連メール・ファイルの解析

  • 監査法人・取引所への説明支援

  • 再発防止策の策定

業務のポイント

  • 最大の論点:決算発表の遅延リスク管理
     決算期末に在庫操作の疑義が浮上したため、「決算発表を予定どおり行えるか」が最大の経営課題となりました。弊社は初動段階から、監査法人との協議を通じてスケジュールリスクを洗い出し、決算発表に遅延が生じた場合のプランBを策定。タスクごとの期限を明確化し、後手に回らない進行管理を徹底しました。
  • 調査の範囲と深度の最適化
    過度に調査範囲を広げれば時間切れのリスクが高まります。そこで、初期段階から監査法人と徹底的に議論し、合理的な範囲の設定と重点化を実施。限られた時間と予算の中で不正実態の本質に迫る調査を行い、報告の信頼性を確保しました。問題の本質を捉えることで、単なる数字の修正にとどまらず、組織風土改善の提言へとつなげました。

成果とその後の改善

調査により、不正な在庫水増しの手口と影響額を特定しました。企業は期限内に決算修正を行い、投資家をはじめとするステークホルダーへの説明責任を果たすことができました。

さらに、今回の不正事案の根本原因を分析する過程で、リベートや在庫管理の仕組みを抜本的に見直すだけでなく、創業の精神に立ち返り、経営風土そのものを改善していく全社的な動きへとつながりました。