CASE STUDY 事例紹介

循環取引による売上操作

プロジェクトの背景

監査法人への内部通報を契機に、不適切な会計処理(循環取引)に関する疑義について社内特別調査委員会が設置された。調査委員会の独立性確保の観点から当社の公認会計士が委員会のメンバーとして参加。

業務内容

以下の業務を実施した。

  • 社内特別調査委員会のサポート

  • プロジェクト・マネジメント

  • 不正調査の実施/支援

    商流・取引先調査、関係者ヒアリング、取引データ精査、取引の経済合理性検証、メール等のデジタルフォレンジック、アンケート調査など

  • 監査法人との交渉

    調査範囲、調査深度、過年度遡及修正の要否、タイムスケジュールなど

  • 不正調査報告書の作成

  • 過年度有価証券報告書の訂正(過年度遡及修正)の支援

  • 各種業務プロセスの見直し(例:購買管理など)、内部統制整備

  • 改善計画書の作成

  • 東証(自主規制法人)からの質問への対応支援

業務のポイント

  • 時間との戦い
    不正が発覚した直後の最大の課題は「圧倒的な時間のなさ」です。有価証券報告書の提出期限までに、事実調査・決算開示・株主総会対応を同時並行で進める必要があります。
  • 同時多発的な要求
    監査法人・取引所・金融機関など、さまざまな関係者からの要求が次々に押し寄せます。後手に回れば調査が混乱し、開示スケジュールに重大な影響を与えかねません。
  • 先読みと計画
    弊社は豊富な経験に基づき、監査法人や取引所が求めてくるであろう要求事項(例:調査範囲、調査手法、深度)を初期段階で的確に予測します。それらをプロジェクト計画に織り込むことで、後手に回らない効果的な調査運営を実現します。

成果とその後の改善

本プロジェクトを通じて、不正の事実関係と根本原因を的確に整理し、経営陣が株主・規制当局・金融機関に対して自信をもって説明できる体制を整えました。その結果、有価証券報告書を期限内に訂正提出し、市場からの信用不安の拡大を防ぐことができました。

さらに、調査過程で明らかになった商流管理や購買管理の不備を改善することで、業務プロセスを抜本的に見直し、内部統制の強化とガバナンス改革につながりました。

加えて、この不祥事を契機に、不正の温床となった組織風土を全社的に見直す取り組みが始まり、企業理念に立ち返った経営改革を進める動きへとつながりました。